リカ

作:五十嵐貴久 発:幻冬舎文庫 日:H15/10/10 分:ホラー



 妻子ある中年サラリーマンの本間は出会い系サイトを利用した擬似恋愛を隠れた楽しみとしている。本間は一人だけこれと決めた相手と直接会うことに決めていた。ここから話は始まる。
 メールを介し、リカと名乗る女性と会うことになる。会う算段の過程で垣間見えたリカの異常性に危機感を覚え、関係を断ち切ることに。リカとの関係が切れたと安堵した本間の前に現れたリカ、やがて知人や家族を巻き込んだ惨劇へ。



 出会い系、ストーカー、携帯電話、個人情報、警察の対応あたりが注目すべき点か。ホラーのテーマとしては今更感を拭えない。流し読んだ後書きに2001年云々とあり、こんなものかなとは感じる。



 主人公がひどい。自己の快楽と保身のみを優先した行動。自己愛という意味では十分ありえる設定だが、ここまでひどいのはどうかと。自宅を知られた状況で知人が殺されたら家庭崩壊しても家族に申告するだろ。こいつも結構な基地外だと思う。感情移入がまったくできなかった。
 リカの人物描写も違和感を覚える。内外伴に異質性を際立たせそうとしたのだろうが、リアリティのある設定とかけ離れている。描写のままを想像すると完全な化け物だ。陳武や兀突骨じゃないんだから。過去に一件の殺人を匂わせる記述があるが、人物像から想像すると、ともて一件の殺人で終わる人間ではない。日常生活に支障をきたすレベルの異常性かと。総じて表現が整合性に欠けると感じた。純粋な憎悪とかイミフ。
 作中に携帯電話のGPS云々とあるのに、拉致され居場所の判明要因が高速の位置取得する機械。GPS利用には携帯所持者が加入の必要があるのか知らないが、作中に記述があるのに活かしてないのはどうかと。
 正直つまらなかった。